当院のカウンセリングには、他院で一度埋没法の相談をしたあとに来られる方も少なくありません。
お話を聞いていると、
「裏どめという方法を勧められたけど、思っていたより高かった」
「表どめより裏どめの方がいいと言われたけど、何が違うのかよくわからない」
「自分には本当に裏どめが必要なのか、別の先生の意見も聞いてみたい」
という方が結構いらっしゃいます。
実際、詳しくお話を聞いてみると、「裏どめで手術を受けたい」と決めているわけではなく、そもそも表どめと裏どめの違いをよく理解していないという方も多い印象です。
裏どめにはメリットがありますし、裏どめを採用しているクリニックもあります。
一方、当院では現在、表どめによる埋没法を行っています。
この記事では、どちらかの方法を否定するのではなく、表どめと裏どめにはどのような違いがあるのか、そして埋没法を選ぶときに何を基準に考えればよいのかを、美容外科医の立場から解説します。
表どめと裏どめは何が違う?
表どめと裏どめの大きな違いは、糸の結び目を作る位置です。
まずは模式図で違いを見てみましょう。

※模式図です。実際の糸の通し方や固定方法は、術式やクリニックによって異なります。
裏どめにはどんなメリットがある?
裏どめには、表どめにはないメリットがあります。
「裏どめの方が新しいから」「高い方法だから」ということではなく、裏どめの特徴そのものにメリットを感じる方であれば、選択する理由になると思います。
※この記事では、まぶたの表面に針穴を開けず、結膜側に結び目を持ってくる方法を「裏どめ」として説明します。
まぶたの表面に傷や糸の結び目ができない
裏どめの分かりやすいメリットのひとつが、まぶたの皮膚側に傷ができない、結び目が来ないことです。
表どめでは、まぶたの表側に針穴をあけて糸を通し、皮膚側で糸を結ぶため、手術直後は針穴がわかります。結び目の部分が少し膨らんで見えたりすることもあります。
一方、裏どめでは皮膚表面に針穴を作らず、結膜側で糸を結び、糸の結び目も結膜側に来るため、皮膚側にいわゆる「糸玉」ができないこともメリットです。
手術直後からアイメイクができる
皮膚表面に針穴を作らないため、手術直後からアイメイクができることも裏どめの大きなメリットです。
仕事などの都合で長く休めない方や、手術直後のまぶたの表面に傷が見えることをできるだけ避けたい方にとっては、裏どめを選ぶ理由のひとつになると思います。
腫れを抑えやすいこともメリット
裏どめは、一般的に術後の腫れを抑えやすいこともメリットとして挙げられています。
皮膚に針穴をあけないため、使う麻酔液の量を少なく抑えられることが理由としてあげられます。
実際、裏どめを提供しているクリニックでも、「腫れにくい」ことを特徴として説明しています。
ただし、「裏どめなら腫れない」ということではありません。
裏どめでも、まぶたが厚い方や広い幅の二重を作る方は腫れやすい傾向にあるのは表どめと同じです。
この点については、後ほどもう少し詳しく説明します。
裏どめのメリットを重視するなら、選択肢になる
このように裏どめには、
- 皮膚表面に傷ができないこと(手術直後からアイメイクができる)
- 皮膚側に糸の結び目が来ないこと
- 腫れを抑えやすいこと
といったメリットがあります。
これらを重視する方にとっては、裏どめを選ぶ理由になると思います。
一方で、表どめにもメリットがあります。
次に、当院が現在行っている表どめについて、私が実際に手術をしていて感じているメリットを説明します。
表どめにはどんなメリットがある?
表どめは、以前から広く行われている埋没法の方法です。
当院でも現在、表どめによる埋没法を行っています。
裏どめには、術直後からアイメイクができる、結び目が皮膚の近くに来ない、といったメリットがあります。一方で、私自身は長く埋没法の手術を行ってきた中で、表どめにもいくつかのメリットがあると考えています。
二重のデザインを細かく調整しやすい
私が表どめを行っている大きな理由のひとつが、二重のラインを細かく調整しやすいことです。
特に違いを感じるのが、蒙古ひだが強く、そのままでは平行型になりにくい目元で平行型を希望される場合です。
こうした目元では、二重幅を広くすれば平行型にはなりますが、不自然になってしまいます。幅を極力広げずに、平行型を目指すには、目頭側の非常に細かい調整が必要になってきます。どの角度で目頭側に向かうラインを設定するのか、どの位置で固定するのかを細かく調整しながら、デザインを慎重に行います
そして、実際に糸をかける際には、正確にデザイン通りの位置にかける、糸をかける深さの微調整を行うことも必要です。
私はこのようなケースでは、表どめの方が細かな調整をしやすいと感じています。
もちろん、これは「裏どめでは平行型を作れない」という意味ではありません。裏どめで細かなデザインを得意としている医師もいます。
あくまで、私自身が希望するラインを細かく作り分けるうえで、表どめの方が扱いやすいと考えているということです。
何度か埋没法を受けている方にも対応しやすい
埋没法は、初めて受ける方だけでなく、以前に埋没法を受けたことがある方もたくさん埋没法を受けられます。
何度も埋没法を繰り返していると、結膜側に瘢痕ができ、組織が硬くなっていることがあります。
このような場合でも裏どめができないというわけではありませんが、手術がやりにくくなるケースはあります。
私自身は、こうした再手術のケースにも比較的対応しやすいことを表どめのメリットのひとつだと考えています。
将来、抜糸が必要になったときにも対応しやすい
埋没法を受けるときに、「将来この糸を抜くかもしれない」と考えている方はあまり多くないと思います。
しかし実際には、二重のデザインを変更したくなったり、再手術を受けることになったりして、手術後に抜糸を希望されることがあります。
表どめでは皮膚側に結び目があるため、将来抜糸が必要になった場合に、結び目へアプローチしやすいというメリットがあります。
裏どめを多く行っている医師の中には、「裏どめでも抜糸は難しくない」と考える先生もいますし、その術式に慣れている医師であれば問題なく抜糸できるケースもあると思います。
ただ、手術を担当した医師が数年後も同じクリニックにいるとは限りません。
転勤や退職などで別の医師や別のクリニックに抜糸をお願いすることになった場合、術式によっては対応してもらえなかったり、抜糸が難しくなったりする可能性もあります。
私は、手術を受けるときだけでなく、将来何かあったときに対応しやすいことも、埋没法では大切だと考えています。
表どめでも糸の結び目は目立ちにくくできる
表どめについて、
「まぶたに糸玉が目立つのでは?」
と心配される方もいます。
確かに表どめでは皮膚側に結び目を作るため、手術直後には結び目の部分が少し膨らんで見えたり、触るとわかったりすることがあります。
ただ、当院では手術の最後に、糸の結び目を眼輪筋内に埋め込むというちょっとした小細工を行って、できるだけ目立たないように工夫しています。
時間の経過とともに、最終的にはかなり目立ちにくくなることが多いため、私は「皮膚側に結び目がある」という理由だけで、表どめを避ける必要はないと考えています。
表どめにも裏どめにも、それぞれメリットがある
このように、私が表どめを行っているのは「昔からある方法だから」という理由ではありません。
二重のデザインを細かく調整しやすいことや、再手術や将来の抜糸まで含めて対応しやすいことなどを考え、現在も表どめを採用しています。
ただし、これは「表どめの方が裏どめより優れている」という意味ではありません。
前述したように、裏どめにも、皮膚表面に傷を作らないことや、術直後からアイメイクができることなど、表どめにはないメリットがあります。
では、結局どちらを選べばいいのでしょうか。
表どめと裏どめ、結局どちらがいい?
ここまで読むと、
「結局、表どめと裏どめはどちらがいいの?」
と思われるかもしれません。
私は、どちらか一方がすべての方にとって優れているとは考えていません。
裏どめには、まぶたの表面に傷や糸の結び目ができず、手術直後からアイメイクができるというメリットがあります。
一方、表どめには、二重のデザインを細かく調整しやすいことや、再手術、将来の抜糸にも対応しやすいというメリットがあります。
そのため、大切なのは「表どめと裏どめのどちらが上か」ではなく、自分がどのメリットを重視するかだと思います。
例えば、
- 手術直後からアイメイクをしたい
- まぶたの表面に針穴を作りたくない
ということを特に重視するのであれば、裏どめを選ぶ理由になります。
逆に、
- 少しのダウンタイムは取れる
- ラインのこだわりが強い
- 以前にも埋没法を受けたことがある
- 将来、抜糸や再手術をする可能性まで考えておきたい
という場合には、表どめを選ぶメリットもあります。
「裏どめの方が上の方法」とは限りません
当院に相談に来られる方の中には、他院で
「こちらの方が腫れにくいですよ」
「こちらの方がおすすめです」
と裏どめを提案され、思っていたより高額な見積もりになったため、一度考え直して相談に来られる方もいます。
もちろん、その方にとって裏どめのメリットが大きいのであれば、裏どめを選ぶことに問題はありません。
ただ、
「高い方法だから、こちらの方が上の手術なのかな」
「勧められたから、こちらにしておいた方がいいのかな」
という理由だけで決めないほうがいいでしょう。高いお金を払う手術なので手術に関しての理解を深めておいた方がいいと思います。
- なぜ自分には裏どめがおすすめなのか
- 表どめでは何が問題なのか
- その違いが自分にとってどのくらい重要なのか
そこまで説明を聞いたうえで、納得できる方法を選ぶことが大切です。
術式の名前だけでなく、誰がどう手術するかも大切です
もうひとつ知っておいていただきたいのは、同じ「表どめ」「裏どめ」という名前でも、実際の糸の通し方や固定方法はクリニックによってやり方は結構違うということです。
また、同じ術式を使っていても、二重のデザインや糸を固定する位置、手術操作などは医師によって異なります。
これは表どめでも裏どめでも同じです。
そのため、埋没法を選ぶときには、「表どめか裏どめか」という術式名だけでなく、自分の目元にどのような二重が合うのかをきちんと診てもらうことも大切だと思います。
当院では表どめによる埋没法を行っています
当院では現在、表どめによる埋没法を行っています。
ここまで説明してきたように、裏どめには、まぶたの表面に傷ができないことや、手術直後からアイメイクができることなど、メリットがあります。
そのため、
「それなら、なぜ裏どめもやらないの?」
と思われる方もいるかもしれません。
私自身、裏どめという方法を否定しているわけではありません。
ただ、これまで多くの埋没法を行ってきた中で、自分が重視している点
- 仕上がりの美しさ
- 再手術への対応しやすさ
- 将来抜糸が必要になった時のやりやすさ
を考えると、総合的に、現在当院で採用している表どめが自分に最も合っていると考えています。
また、表どめのデメリットとして挙げられることの多い「糸の結び目」についても、最後に結び目をきちんと埋め込むことで、できるだけ目立たないように工夫しています。
大切なのは、表どめか裏どめかという名前ではなく、その方法を選ぶ理由を医師自身がきちんと説明できることだと思っています。
大切なのは「表か裏か」だけではありません
ここまで表どめと裏どめの違いについて説明してきましたが、埋没法の最終的な仕上がりを決めるのは、表どめか裏どめかという術式ではありません。
実際の診察では、
- どのくらいの二重幅がその方の目元に合っているのか
- 蒙古ひだの状態はどうか
- 平行型と末広型のどちらが自然に作れるのか
- 左右の目の開きや、まぶたの厚みに差がないか
などを確認しながら、二重のデザインを決めていきます。
どれだけ良い術式を選んでも、その方の目元に合わない二重を無理に作れば、自然な仕上がりにはなりません。
また、同じ術式であっても、術前にシミュレーションしたラインを実際の手術でどこまで正確に再現できるかによって、仕上がりは変わります。
そのため私は、埋没法を選ぶときには、
「表どめですか?裏どめですか?」だけではなく、
「自分の目にはどんな二重が合うのか」
「その二重をどうやって作るのか」
まで説明を受けてから決めることが大切だと考えています。
表どめにも裏どめにも、それぞれメリットがあります。
術式の名前だけで選ぶのではなく、自分の目元に合ったデザインをきちんと提案してくれる医師を選ぶことも、埋没法では大切です。
よくある質問
Q. 表どめと裏どめでは、どちらの方が腫れにくいですか?
裏どめは、一般的に術後の腫れを抑えやすいことがメリットとして挙げられています。
ただし、裏どめであれば全く腫れないというわけではありません。腫れ方には、作る二重幅やまぶたの状態、手術操作なども関係します。
「裏どめ=腫れない」と考えるのではなく、ダウンタイムについては事前に担当医へ確認しておくことをおすすめします。
Q. 裏どめの方が取れにくいですか?
表どめか裏どめかだけで、二重の持続期間が決まるわけではありません。
埋没法はどちらの方法でも、将来的に二重のラインが薄くなったり、取れたりする可能性があります。
まぶたの厚みや二重の幅、糸のかけ方、糸を結ぶ強さなどによって取れにくさは変わってきますが、「結び目の位置(表か裏か)」は取れにくさには影響しないと考えています。
Q. 表どめは糸の結び目が目立ちませんか?
表どめでは皮膚側に針穴をあけて糸を通すため、術後早期には針穴が小さい傷として見えます。触るとわかったりすることがあります。
結び目は皮膚に近い位置に来るので、理屈上は裏どめよりは目立ちやすいのですが、当院では、最後に糸の結び目を眼輪筋内へきちんと埋め込むことで、できるだけ目立たないような工夫をしています。
最終的には、普通に目を開けたり閉じたりしている分にはほぼわからないぐらいになることが多いです。
Q. 表どめでも平行型の二重にできますか?
できます。
糸をかける位置の調整のしやすさでいうと、表どめのほうがラインの調整はしやすいです。
ただし、平行型が作りやすいかどうかは、表どめ・裏どめという違いだけではなく、蒙古ひだの状態や希望する二重幅などによって変わります。
特に蒙古ひだが強い方では、どちらの方法であっても無理しない方が安全です。
Q. 他院で裏どめを勧められました。表どめでも手術できますか?
「裏どめはできるけど表どめはできない」というケースはまずありません。
他院で裏どめを勧められたからといって、必ず裏どめでなければ二重を作れないというわけではありません。
「なぜ裏どめを勧められたのかわからない」「自分には本当に裏どめが必要なのか知りたい」という場合も、ご相談いただければ目元の状態を見てお話いたします。

